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“夏未完”の続報

「仮面ライダー」幕切れ、続きは映画なんて…(2009/10/30)


 テレビ朝日が8月30日に放送した特撮番組「仮面ライダーディケイド」の最終回で、本編終了直後に同作品の映画告知を続けて放送したことについて、同社の早河洋社長は、29日の定例会見で「表現方法として不適切だった」と発言した。
 最終回は、戦闘シーンの途中で番組が終了。その直後に、「ライダー大戦は劇場へ」の字幕とともに、12月公開予定の映画の予告編が流された。
 「映画を見てもらうため、わざと最終回を中途半端な形で終わらせたのではないか」との声が上がり、放送界の第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の青少年委員会にも多数の批判が寄せられ、審議されていた。
 同社は今月21日、不適切な表現だったことを認め、本編と予告編の区切りをはっきりすべきだったとする回答を送り、同委員会は27日、これを了承していた。


http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20091029-OYT1T01026.htm

※「仮面ライダーディケイド」の最終回について
早河社長:BPO放送と青少年に関する委員会」から質問状がきて回答した。BPOの質問は、「本編が完結していなくて映画宣伝に展開するのは放送倫理上問題ではないか、相手が子供であるので注意が足りないのではないか」というものである。それに対して私どもの基本的な考えとしては、テレビシリーズの結末と映画の告知の境目がはっきりと分かるようにすべきだったということである。つまり、「当該放送の表現方法、演出方法は不適切でした」と返事させていただいた。


テレビ朝日プレスリリース ─ 早河洋社長 定例記者会見(10月29日)の要旨

 実際にご覧になった方ならわかると思いますが、これ、「本編と予告編の区切り」がどうこうという話じゃないんですよね。最後の最後にとうとう現実に始まってしまったライダー大戦の最中に、ディエンドがディケイドの顔面に向けて銃ぶっ放して夏みかんが「ディケイドー」と叫んだところでいきなり終わるという、要するに平成ライダーでよくある次回への“引き”を最終回でもやってしまったわけです。しかもその次回というのは冬映画という有料コンテンツ。早い話が「続きが見たけりゃカネ払え」というのを思いっきりあからさまにやってしまったわけで。
 でもまあ、テレ朝の立場的には「すみません、有料コンテンツ誘導でした」と公式にはっきりステートメントを出してしまうのはいろいろ差し障りがあると思ったんでしょうし(まあサラリーマン的には理解できなくもないです)、そのへんは判っていてわざと“ズレた”回答をしているんだろうと思います。“悪意”を読み込まれてこれ以上の非難を食らうよりは「悪意はないけど読解力もないまぬけ」と思われた方がまだマシ、みたいな感じの判断ですかね。

 ちなみにBPOがウェブ上で公開している審議内容はこちら。

1. 視聴者意見について
(略)
4. テレビ朝日仮面ライダーディケイド
このシリーズ最終回の放送で、番組の終わりで新たな戦いが始まるが、「続きは12月公開の映画で」という字幕が流れて終わったことについて、「子どもに対する裏切りである」等の批判意見が寄せられたことについて審議し、委員からは以下の意見が出された。<委員の主な意見>
放送モラルの問題であり、視聴者の信頼を裏切る手法は、テレビの自殺行為とも言える。
本編だと思って見ている子ども達にとって、それが映画の宣伝であり、劇場に足を運ばなければ見られないと分かった時の落胆は大きい。
以上の意見を踏まえ、委員会としては番組制作手法及び視聴者の意見への見解等について回答を求めることになった。上記番組の「局からの回答」については、次回委員会で審議する。


BPO青少年委員会 2009年度議事概要 第104回放送と青少年に関する委員会

仮面ライダーディケイド』という作品は、ガンバライド連動企画&過去ライダー再利用企画というコマーシャリズム溢れまくるコンセプトの割には、ストーリーにかなり工夫があってドラマとしても結構面白い作りになっていたように思うのですが、せっかく良作になりかけていたところを自分でぶち壊しちゃったんですよね。打ち切りでやむなく中途半端なところで終わるとか、意図的にストーリーを中途半端なところでストップして後は観ている側の想像力に委ねるといった事情があるならともかく、『ディケイド』はちょっとやり過ぎでした。